バッグの修理は勉強になります

こんにちは!


さて、今日はバッグの修理について書きます。


ほつれなどを縫うだけで完了するものでしたらいいのですが、大抵の修理は難しく

例えば革の部品を換えないといけないとなると、同じパーツはそのメーカーでしか調達できません。

以前、バッグの修理屋さんとお話したことがあるのですが、

同じ革や同型金具を探すのが一番大変だとおっしゃっていて、その通りだと思いました。

また、個人で修理するとブランド品なら補償対象から外れてしまいますので注意が必要です。

見積のための現物往復送料もばかになりませんし、

結果として遠方の方からの市販品の修理依頼はお請けしない方針でいます。

お知り合いの方やそのご紹介で現物を拝見することができる場合に限り、

どの程度までの修理を望まれているかということをきちんとお聞かせ頂いてからお請けしています。


以下、画像の上がBefore、下がAfterとして掲載していきます。3例のご紹介です。

上は有名ブランドGのバッグです。持ち手の根元の座金ネジがはずれてしまったようです。

メーカーはネジ止めの際に接着剤を流し入れたりしているところもあるので対処はされていたと思いますが、

やはり一番力がかかる部分なので徐々にネジが抜けてしまったようです。

かぶせの縫い目範囲を2/3ほど大きく解き、中側から修繕してまた縫い戻します。

金具のビスは見えない部分から留められているのでこの方法でしか修繕ができないのです。

ちなみに、見えない部分の作りもきちんとしており、さすがG社だなと感心しました。


下の画像は、スペインのブランドE社のショルダーバッグ。

私は存じ上げないブランドだったのですが、とても丁寧でクラシカルな作りがいいです。

染料染めの牛革の一枚革仕立てで、なるべく近い質感の革を探して修繕しました。

写真に撮ると、光加減で少し色差があります。内装(例えば内ポケット)から革を切り出してパーツを作る方法もありますが、表革はエイジングで色褪せも生じているので色が合いませんでした。

ある程度似ている革を代用することがほとんどなのですが、妥協点をお客様と話し合いつつ完成させます。こういうことも多いので、何でも修理をお請けできないんですよね。


最後の例は、有名ブランドCです。

C社のものはいくつかお直しさせてもらったことがあるのですが、

バラエティーに富んでいてこれまた勉強です。

このバッグは大変難しかったです。

持ち手金具の構造によりバッグを持つたびに「ねじれ」が起きてしまう様で、

弱くなった根革が切れてしまっていました。

後期モデルでは形状が変わっていたので改良されたのかもしれないですね。

修繕方法としては根革の交換となったのですが、構造をすこし変えてDカンが倒れないよう支持することで根元がねじれにくくなるようにしました。

修繕箇所が背胴側(ブランドロゴがある方が前胴、無い方が背胴)ということもあり、

すぐに目が行く側でなくてよかったと思います。

最初は同じ質感の革が見つからず、目立ってしまう可能性をお客様にお伝えしたのですが、

その後にかなり近い革を探すことができたことでも救われました。

古いモデルではメーカーでも部品欠品ということが多々あると思います。

形状も素敵なバッグですので、また活躍して頂ければいいなと思っています。


バッグの修理というのは、お客様が愛着ある大事なものを扱うので、

とても慎重に行っています。大袈裟に言えば、「蘇らせる」という作業ですからね。

また、バッグの内側を見るのは、それが作られた情景も浮かびます。

そのメーカーや工房の技術というのは見えない部分にも表れています。

いいものはやはりよく出来てるなーと勉強させてもらいつつ、

自分もきちんと作らなきゃなと毎回思うのでした。


それではまた。


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